2013年は、春に3か月連続リリース、夏に全国ツアー、秋にはイベントへの参加と
精力的な活動を行ってきたdefspiral。
12月20日、新宿BLAZEでのワンマン・ライヴを目前にリリースされた
9thシングル「Serenade/Thanatos」(絶賛発売中)では、
これまでにはない新たな一面を披露している。
2ndアルバム『Voyage』リリース後、第1作目となる本作に込めた想いは?
メンバー全員に話を訊いた。


       *      *

ーー今年5月発売の2ndアルバム『Voyage』の後の音源なんですね。
TAKA:そうなんですよね。
ーーとなると「Serenade」はアルバム『Voyage』の次のアルバムへ向けての、とっかかりの1曲になるのか?が、まずは気になるところで。
RYO:『Voyage』のイメージっていうか、『Voyage』の曲が発展した形かなって思いますね、「Serenade」は。
TAKA:うん、そう思う。次の曲は『Voyage』の発展形でいけたらいいな、っていうアイディアはメンバーで話していたんですよ。ただ、それから実際、制作に入るまでの間、ツアーを挟んだりして、すっかり忘れていたんですが、結果、ドラマティックな世界観とかは受け継いでるっていうか、『Voyage』の延長上にあるなって。
ーーMASATOさんは、そういう意識があって作曲をされました?
MASATO:単純に8thシングル「MASQUERADE」の後に何が来たら面白いかな?っていうのを考えてましたね。それで「Serenade」はリズム的にdefspiralでやったことのないものが1曲ほしいな、というところで作りました。
ーー確かに、これほど激しいロック調の速い曲はこれまでのdefspiralにはなかったかも。
MASAKI:速いですよね。それに、こういうビート自体、やったのは初めてだったんで、(こんな速いテンポで)大丈夫かな?と思いながら家でトレーニングしてたんですけど、実際、ホントに大変で。今までのドラマー人生でリズムの表と裏がわからなくなるってことはなかったんですけど、今回のレコーディングでは、えぇ??ってリズムを見失う部分があったりして。こんなの初めてだ…と(笑)。
ーーもう17年も、ほぼこのメンバーでやってるのに(笑)。
MASATO:大ベテランなのに(笑)。
TAKA:“裏と表が…”とか言う(笑)。
RYO:(笑)
MASAKI:(笑)他のドラマーから“叩いていて表と裏がわからなくなる”って話で聞いたことはあったけどーー。
TAKA:魔物が棲んでいたんやな、この曲には。
MASAKI:棲んどったな(笑)。
TAKA:これが噂のアレや、と(笑)。
MASAKI:そうそう(笑)。これが噂の魔物か、と(笑)。
RYO:(笑)。「MASQUERQDE」をやってるバンドと「Serenade」をやってるバンドが同じバンド?って思うかもしれないですけど、なんかね、そういう(裏切り感)が楽しいっていうか。今までdefspiralの音楽を聴いてる人も“ん?”って思うわけじゃないですか?
ーー驚いてるんじゃないですかね。
RYO:それを良いとするか?悪いと思うか?どっちに受け取られたにせよ、何かしらひっかかりのがあるってことですからね。今回は、defspiralにとってのスタンダードを作るというよりは、そういう曲を作りたいっていう感覚はあったんです。
TAKA:defspiralの楽曲は振り幅が大きいと思うんです。だけど、すべての曲が俺らの芯のところでは繋がっているので。アレンジとか、その時々の曲のムードに関係なく、“あ、この部分がdefspiralね”ってところは見えてくると思うんです、どの曲でも。
ーーうん。『Voyage』と繋がっているといえば、前作では、人生を荒波を航海することに例えていたじゃないですか? この「Serenade」でも“海”というワードが行く手に待ち受ける困難な状況を表していて。そこは世界観が繋がっているな、と。
TAKA:そうですね。
ーーただ“セレナーデ”というと、もっとロマンティックな楽曲、曲調を想像していたっていうか。
TAKA:インストアイベントでお客さんの中にもそういう声がありましたね。
ーーやはり(笑)。
TAKA:“セレナーデ”という言葉は、この気持ち、想い、感情を象徴するタイトルになるような言葉を入れたいな…と思っていて歌録りの直前に思い付いたんです。“セレナーデ”って言葉いいな、と。皆さんが思われるように“セレナーデ”といったら女性に想いを伝える歌ですよね。そのロマンティックなイメージがないから、あれ?って思われるんでしょうけど、俺の中ではロマンティックな曲なんです。
ーーこの激しい曲が?(笑)
TAKA:ええ。曲のアレンジとは別の所で。
MASAKI:激しいけれど、メロディーはスゴく良いですし。
ーーああ、確かにサビは唄い方は優しいし、メロディーも美しいです。ただ、他の部分はこれまでの中でも、もっとも激しい唄い方じゃない?とも思うんですが。
TAKA:そうですね、激しいですね。
ーー実はあの唄い方、今秋のMERRY×lynch.のツアーに参加したライヴでの、TAKAさんの激しい唄い方に通じてるんじゃないか?と。
TAKA:ああ。この音源自体の熱みたいなものは、あのツアーの時がかなり影響してると思いますね。「Serenade」の歌だけを切り取っていえば、そんなに意識してはないんですけど、Aメロとかの早いビートのところで出したかったムードがあって。綺麗に唄っても、それはそれで成立するとは思うんですけど、敢えて日本語で同じ言葉を繰り返している歌詞だったりしますし、ちょっと文学的な匂いを出したかったんです。それにくわえて歌に熱を乗せて。
ーーええ、熱いです、熱量が高いというか。あと音も分厚くて、展開もまた目まぐるしくて。
RYO:面倒臭いんですよね(笑)。
MASATO:(笑)
ーー面倒臭いとか言わない(笑)。
RYO:いや、良い意味で。その辺、MASATOっぽい曲だなって思いますね。
ーーとにかく、音の種類が凄いんですよ。
MASATO:うん。オーケストラ関係の音はいろいろ入ってます。A[エース]のROOKIEくんにはヴァイオリンとピアノを弾いてもらっていたり。
ーーとにかく壮大で、間奏では見せ場がたっぷりありますよね。
TAKA:そうなんですよね。Aメロの印象とサビの広がりっていうのを軸として始まった制作ではあるんですけど、間奏でMASATOがいろいろチャレンジして予想以上にドラマティックな展開になったというか。それが出来てDメロをつけて、より曲に面白味を加えられたなって思いますよね。
MASATO:間奏が2パターンとかあったりするしな。
ーーそうそう。
TAKA:間に歌が入るんですよね。
ーー珍しいですよ、それも。
RYO:今回は結構、個人作業が多かったので、「Serenade」はある程度出来上がってきた時に初めて客観的に聴いたんです。で、今も話に出ていたように展開がポンポンといくのはいいんですけど、散漫になりがちだったんで、「ここに2拍だけブレイク入れよう」とか、最後の最後に思い付いたことを言って、そのアイディアを採用にしてもらったとか、そんな関わり方だったんですね。何の先入観もなしに初めて聴いて思ったことをポン!と言って修正して、結果いい方向へ転がったりとか。こういう関わり方もありやなって思いました、今回。
MASATO:展開が激しく転調もしてるんで、繋がりが難しい箇所が、RYOの一言で、あ、これならイケる!と確信できたり。
RYO:作り方はその曲によりけりなんですけど、今回は今の技術を駆使して作った、と。もちろん、アイディアがあって、みんなでスタジオに入って作ろうってこともありますし。ま、どちらの方法も僕らは通ってきてますから。いろんな作り方があってもいいんじゃないかなって。
ーーええ。では2曲目収録の「Thanatos」のお話を。こちらはRYOさん作曲のシャッフルのリズム。defspiralでシャッフルって。
RYO:そう、シャッフルの曲がなかったんで、シャッフルの曲がほしいな、と。
ーーしかも途中でリズムが変わることなくシャッフルで貫きますもんね、潔く。
RYO:この曲ではシャッフルのリズムで、イヤラシイ感じのメロディーがいいなっていうので取りかかってるんです。だからスゴく早くできたんですよ、取りかかってからは。サクサクと出来た1コーラスをTAKAにメールで送ったら“お、これは唄いたいね”ってすぐ返事があって。
TAKA:もらった1コーラスだけでRYOが目指してるところはスゴく伝わってきたので。だって、4時間で作ったって言ってなかった?
RYO:そそそ、4時間。それでフル・サイズの曲を作ってMASATOに送ったら、“はい、了解”って連絡がきて(笑)。
ーー適当すぎませんか?(笑)
MASATO:いやいや、メンバーを完全に信用しきってますから(笑)。
RYO:ただねー、作るのは早ったんですけど、作ってから思いました。シャッフルのリズムを舐めてはいけないなって。“シャッフル感”って難しいですね。しかも地を這うようなシャッフルっていう、リズムは跳ねていても地を這いたいっていう…ただただ跳ねたんでは、阿波踊りの♪チャンカチャンカ チャンカチャンカ♪になっちゃいますから。そこはチャレンジして難しさを実感しました、あらためて。
MASAKI:そのシャッフル感もテンポが速ければ、誤魔化せてしまう部分もあるんですよ。ただ、「Thanatos」のようなミドル・テンポとなると、跳ねの部分が全部わかっちゃうんですよね。ベタッとしてる中で跳ねてグルーcうを出さなアカンってところが難しかったところですね。
ーーとはいえ、シャッフルって何十年も前から、ロック的なリズム・アプローチの1つですよね。
RYO:そうなんですよ、俺らはやったことなかったけれど。ってところもあって、ロック・バンドとして、こういう曲も必要だろう、単純にライヴでやっても楽しいんじゃないですかね?って感じですね。でね、メロディーはイヤラシイ感じじゃないですか。ま、そこもロック的だなと思うし……なんかねぇ、最近、エッチなんですよ、僕(笑)。
TAKA:見出しで使われるよ(笑)。
MASATO:それ、最近じゃなくて昔からじゃないっすか?(笑)。
RYO:(笑)なんかメロディーの半音の使い方とかね、メロディーにおけるエッチな感じ、最近、僕の中でひっかかるんですね。
TAKA:セクシーさっていうのもロックの要素ですからね。
ーーそれで、こういう歌詞になった、と。
TAKA:ですね。曲をもらった時の印象、世界観を言葉でダーッと広げていったという。そういった色気みたいなものは1つのテーマというか。確立したいところではありますね。
ーー“タナトス”ってギリシャ神話に登場する、死そのものを神格化した神の名前ですよね?
TAKA:そうですね、あとは“死の本能”。ま、神とかそこまで仰々しいもんじゃなく、死の象徴としてタイトルに付けました。テーマとしては“性と死のダンス”。LOTUSでも歌ってますが、いずれ死が訪れるなら快楽に溺れてみよう、という振り切った表現。それはすなわち”生”なんですけども。曲をもらった時から、ライヴの画も見えていたんで、ライヴで歌って気持ちよい感じとかも考えてました。展開の多い曲ではないですけど、強弱のある曲なので楽器陣が抑えているところで歌がすっと出てくるように、歌が活きるように気を付けてます。
RYO:もうね、ほぼすべての音が歪んでるんですよ。ドラムの音もそうやし、ベースもギッシギシに歪んでるし、ディストーション・ギター(歪んだ音のギター)が入っていて。ミックスの時、エンジニアに“ちゃんと音を整理してほしい”って言ったら“一体、どうすりゃいいんですか! (こんだけ歪んだ音で録った音を整理しろ、なんて)どの口が言ってるんですか?”って呆れられ(笑)。
ーーエンジニア泣かせだなぁ(笑)。
MASAKI:スネアもロー・ピッチで録ってるのに、歪んでるから明るい音域の部分も聴感上では聞こえているっていう。そのぶん、音の厚さはありますよね。
MASATO:「Thanatos」は曲調が曲調なんで、歪んだギターを一発入れて、ベースとユニゾンでみたいな感じやったかな。
RYO:そやな。逆に「Serenade」が音の種類が多いぶん、ストレートにいこうっていう。ただ、なんせ全部の音が歪んでいて、よりスッキリ聞こえるように、いろいろ試しましたね。“Yeah!”の部分が活きるようにシンセをカットしたり。いろいろやりましたけど、仕上がりは満足してますよ。王道のロック・スタイル、シャッフルの曲をdefspiralがやると、こうなりますっていうのが見せられたんちゃうかなって。
ーーですね。で、今回のリミックス・ヴァージョンは「MASQUERADE」。しかもI.N.Aさんが手がけてるじゃないですか。
RYO:そうなんですよー。ようやく念願叶って。以前、hideさんの曲をカヴァーさせてもらった『Replay』でも、サウンド・アドバイザーとしてI.N.Aさんには関わっていただいたんですけど、リミックスをお願いするのは初めで。ダメ元でお願いしたら“やるよ”と言ってくださって。いや〜嬉しいですね、ホントに。
MASATO:ホントに夢が叶ったというか。上京して初めて会ったのがI.N.Aさんだったんですよね。その時、感激しながらお話させていただいたことは今でも鮮明に覚えているし、その後、いろいろな形でI.N.Aさんとの関わりはあったんですけど、自分のバンドで何かで絡めたらなっていうのはずっと前から思っていて。やっと夢が叶ったって感じなんです。
MASAKI:実はありそうでなかったんですよね、近くにおったのに。
ーーそうか。今回の「MASQUERADE」のリミックス、案外ちゃんと歌を聴かせる仕上がりになってますね。
RYO:それはI.N.Aさんから初めに言われました“defspidalの場合、歌はちゃんと聞こえたほうがいいんでしょ?”って。
TAKA:バンドのカラーも踏まえて、そういう“答え”をリミックスで提示してくれたと思うんですね。もっとマニアックなリミックスの方法もあったはずですけど、うちらはそういうバンドではないから。歌を大事に聴かせていくっていうバンドだってことを感じてくださっていて、ファンのみんなが喜ぶように、歌中心のリミックスにしてくれたんだと思いますね。
RYO:ま、ワケわからんリミックスも世の中にはいっぱいあるし、それがよかったりする場合もあるんですけど、うちらの場合はそうじゃなかったっていう。
MASAKI:せやな。I.N.Aさんの手に掛かって、これだ!っていう仕上がりになってホントに嬉しいですね。今後、またリミックスという形以外でも関わっていただけたらな、と…。
TAKA:“こういうの、defspiralでやったらどうなの?”とか思い付いたことを、よく言ってくださったりしますからね。なので、いずれ実現したら面白いと思います。
ーー来年の2〜3月にはロックミュージカル『ピンク スパイダー2014』でI.N.Aさんと一緒にいる時間も長いから。
TAKA:そうですね、話をする機会も多々ありそうですし。また参加できて光栄です。
ーー楽しみです。と、その前に12月20日の新宿BLAZEワンマン・ライヴですよ。
MASATO:今回の「Serenade」「Thanatos」を演奏しての反応も楽しみですね。きっと違う景色が見られるんじゃないかな?と期待してるんですけど…。
ーー違うノリは見えるでしょうね。
RYO:それか棒立ち、微動だにせぇへん、みたいな(笑)。
MASAKI:それはないやろ、defspiralを観に来てくれてるお客さんなら(笑)。ま、でも来年初頭はミュージカルの公演でそんなにライヴがないので、来年に繋げるためにも12月20日の新宿BLAZEは良いライヴしたいですね。
RYO:ゆーたら今年の集大成ですから。今年は3か月連続リリースしたり、アルバムも出して頑張ってきましたし。なので絶対、いいライヴにしますよ。
TAKA:あらためて目標や到達点を設定することは、スゴく意味のあることなんだな、と実感しながら、この1年、夏の自分たちのツアー、MERRY×lynch.のツアーでも、自分たちの魅力を伝えて、defspiralを好きになってもらいたい、12月のこの日に集まってもらいたいなって想いをステージから届けてきたつもりなんですね。だから、ホントに多くの人が集まってくれたら嬉しいです。今年1年、この日のために活動してきた、といっても過言ではないくらいなので。■

<Interveiw:Kimico Masubuchi>

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