hitoki


KNCP-0010








■1st Solo Single「Could You Dance With Me?」
2012.10.15 on sale



日本で最もカッコいい実力派ベーシストの中のひとり、人時。
黒夢、Creature Creature、aki The Band、栄喜のソロ(ex.SIAM SHADE)……と
活動の幅広さは周知のとおり。
実は人時がベースを手にしてから、今年で20年になるという。
そんな大きな節目を迎えた彼が、
今春、40歳という大きな人生の分岐点を目前に新たに挑戦したのが
ベーシストとしてソロ作品を作り上げること。
歌は一切なし、生楽器はベースと、そうる透氏が叩くドラムのみ。
無機質な音の中で、
自由奔放かつ縦横無尽に暴れる人時のベースが際立つ仕上がりになっている。
11月にリリースされる
1stソロ・アルバム『I Never Kill The Groove.』の先行シングルとして
10月15日に発売された1stソロ・シングル「Could You Dance With Me?」。
正真正銘、ベーシスト・人時ソロの処女作である。
しかも、3曲目に収録されてる「Coin」は、
2012年7月19日のライヴ・テイク。
つまり40歳になった瞬間の音と空気が詰め込まれている音源なのだ。
人生の節目である40歳に、ベーシストとして新たな道を開拓した人時の胸中は?
本作への想いを大いに語っていただこうと思う。


           *                 *

ーー10月15日に初のソロ・シングル「Could You Dance With Me?」がリリースされますね。人時さんはベーシストとしてソロ作品を作りたいという気持ちが元々、おったんですか?
人時:正直、僕はなかったですね。1、2年前にakiちゃんから“人時くん、ベース・ソロの作品を作らない?”って言われた時も、はたして自分に何ができるんだろう?って気持ちが強かったというか。それこそakiちゃんの現場や黒夢でもライヴの中にソロ・コーナーがあったりしましたけど、それはあくまでライヴの中での場繋ぎにすぎないんですよね。ライヴにおける1つの場面転換でもあるし。そういう意味合いで長ければ20分くらい、短ければ10分、5分っていう時間の中で何ができる?っていうのは、昔からドラマーのそうる透(以下、透)さんと一緒にやってたりはしてたんですけど。
ーーだからといって、作品に残すものではない、と。
人時:はい、そう思ってました。ライヴ中、透さんとやっていたのはYouTubeラジオ『Temo-Talk』でも話しているようなインプロ(=improvisation、即興演奏)ですから。何も決めずに演奏して、その時々で自分的に旬なフレーズを組み合わせて思ったまま弾いていたりするので。そういうものって作品にしてどうなのかな?とか、ちょっと考えちゃったんですよね。と音源化するにしても“何月何日のセッションです”っていう形で残すならわかる、と。今回、シングル「Could You Dance With Me?」の2、3、4曲目に入ってるような、ああいう形ならありかな、とは思っていたんです。そういう生のテイクを音源として残している作品は、ジャズなんかではよくありますし。それで“それくらいの気持ちで作ったらどうなんだろう?”ってakiちゃんに伝えたら“面白いんじゃない?”みたいなことを言ってくれて。それで今回の一連の作品に取りかかることになったんですね。
ーーなるほど。タイトル曲「Could You Dance With Me?」はそうる透さんとのセッションの中で生まれた曲ですか?
人時:いや、11月にリリースする1stソロ・アルバム『I Never Kill The Groove.』の曲を含め、弾いてる中で偶然に近い形で生まれてきたフレーズを元にデモ音源を作って、透さんには叩いてもらってます。「Colud You Dance With Me?」も僕が作ったデモに沿って叩いてもらってますね。何か作れないかな?って考えながら頭の中で想像したものをその場で弾いてみたり、そのフレーズがイマイチだったら、そのフレーズをどんどん変形させていったり…模索する中で出来た曲の1つ。アルバムに収録されてる曲の中にはギターや鍵盤のコードから作ったのもありますけど、こういったロック・ナンバーはリフから作ることがやっぱり多くて。これは透さんに叩いてもらいたい、と決めたら、こんなふうに叩いてもらいたいなっていう感覚でドラムのフレーズとかビートとかを打ち込みで作って渡しました。音色とかフレーズとか、生ドラムと差し替えになるから、わりといい加減なところがあるんですけど(笑)。ただ、透さんと長年一緒に音を出してきているお陰なのか、僕がドラムを打ち込むと、どうしても透さんが叩くドラムの音や雰囲気に似ちゃうんですよね(笑)。その点、透さんからは“逆にプレッシャーかかっちゃったよ”とか言われつつ(笑)、僕がやりたいことを解ってくれる透さんに、ほぼお任せ状態で叩いてもらいました。デモのまんまの箇所もあるし、透さんにアレンジしてもらってさらに良くなった箇所もあるし。楽しいレコーディングでした。
ーー所々に聞こえるデジタルな声は?
人時:あれは自分の声です。曲のメインにならないなら声があってもいいのかな?っていう感覚で入れて。全面に言葉を聴かせようとかっていうのではなく、1つのサウンドだと思ってもらえたらいいかな、と。
ーー了解です。そして2曲目、4曲目にはセッションが入ってるっていう。
人時:透さんと何も決めずに弾いたものが入ってます。透さんと一緒に音を出す時、音決めとか、サウンド・チェックとか、ちょっと時間が空いた時に適当に音で遊んだりするんですけど、そういったセッションのテイクですね。この2曲というか、2テイクに関しては、過去に黒夢でやってきたソロ・コーナーの1つに近いものだと思います。
ーーもしかしたら、世の中には完成形ではないものを見せたくないって思うミュージシャンもいらっしゃるかもしれませんけどーー。
人時:うん、いると思いますね。
ーーここでは敢えて見せてみよう、と。
人時:ですね。完璧なものしかCDにしないっていうんであれば、それ以上でもそれ以下でもないものを作るまでは出せないじゃないですか? 今、完璧だと思って作った作品を5年後に聴いて“青い!”と思えたら音源に残せないってことになってしまいますよね、そういう感覚でいえば。
ーーってことになりますね。
人時:だけど、5年経った時にも完璧っていえる作品なんて決して作れないと思うんです。オーディエンス側からしたら、その時の勢いとかイメージとか、その時の自分の気持ちも入って昔の作品を聴くから“あの時は良かったね。あの曲は良いね”っていう言い方になると思うんだけど、作り手からしたら“うわっ、これちょっとな…”っていう部分は絶対に出てきてしまうので。もちろん、その時の旬な気持ちとか、モチーフだったりとかを、試行錯誤しながらなるべく100%出せる作品に近づけようって努力は絶対にするけれど、100%の作品には成り得ないので。そういう意味では、この2曲目と4曲目は極論、真逆のテイクですよね。
ーーふむ。
人時:むしろ僕の中では楽しめる空間を感じてほしいっていうか。BGMというよりは、ヘッドホンで聴いてもらって、楽しい空間で演奏していたんだなっていうのを感じてもらえたらいいかな、と。和やかに楽しんでいる雰囲気っていうのは、たぶん5年後、10年後でも色褪せないと思うから。そこは僕の中では重要視してますね、特にこういうセッションもののテイクでは。これは勝手な持論ですけど、こういうテイクは100%完璧にしたくないですもん。
ーーというと?
人時:時間と空間を切り取った日記みたいなものだから、そうはならないし。そういう完璧じゃないものを音源にしたくないって人ももちろんいると思いますけど、逆に僕は完璧な音源にしたくないというか。もうちょっと考える余地があったんじゃない?とか、この隙間をもっと埋めてもよかったんじゃない?っていうような隙のある音楽を作りたいと思ったんですね。わざと隙を見せるっていうんじゃなくて、結果として隙があるなって思えてしまうもの、それが僕の中では、その時々の答えじゃないか?と思っていて。さっき言ったように、音楽的に100%満足する作品を作ることができないなら、隙があることで、まだベーシストとして上れるなって感じられるものを出したかったっていう…これは僕の勝手な思い込みかもしれないですけど。次に目指せる場所が明確になるようなテイクであればあるほど、僕は作り手として嬉しいし喜ばしいし。今回、作ってみて、その先に目指すべきことが解って、自分の足りないところも見えてきて、40にしてやっとというか、40になっても自分の伸びしろがまだあるんだ、と気づけたのは大きかったですね。
ーーしかも40歳になった瞬間の音、「Coin」の7月19日のライヴ・テイクが3曲目に入ってるっていう。
人時:あっ…今まで気づかなかった(笑)。偶然とはいえ、それは凄いことかもしれない。
ーー狙ったんじゃないんですか?
人時:いや、akiちゃんに“ライヴ・テイクを入れてもいいんじゃない?”って言われて“そうだね”なんて言って入れただけ(笑)。しかも1箇所、間違えてますし(笑)。
ーーそれも含め40歳の音っていう(笑)。人として、ベーシストとしての節目の作品っていうか。やっぱり人間、年齢の10の位が変わる時って何か想うところがあるじゃないですか。現状はそんなに変わらなかったとしても。
人時:変わりましたけどね、疲れやすいとか(笑)。
ーー(笑)。けど、40歳になった瞬間の音が入ってるという意味でも、そこから始まる人時さんの新たな作品アプローチの第1歩、1stソロ・シングル「Could You Dance With Me」は絶対に聴いていただきたい、と個人的には思ってしまうわけです。
人時:ぜひ聴いてほしいですね、ご祝儀として(笑)。スタジオ・テイクはもちろん良いんですけど、生の良さを感じてもらいたいです。ライヴを見てらっしゃる方は、その良さをいっぱい感じてらっしゃると思うけど。生々しさを感じてほしいですね、このシングルから。

<Interview:Kimico Masubuchi>

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いかがでしたでしょうか?

人時氏の1st Solo Album『I Never Kill The Groove.』についてのインタビューは、
11月のリリースに合わせてアップする予定です。
どうぞ、お楽しみに!

11月2日にはギタリスト・K-A-Z氏とのライヴもあります。
ベーシスト・人時氏の世界を生でご堪能あれ!

詳しくは人時氏のオフィシャル・ウエヴ・サイトにて。

【 http://hitoki.info/ 】